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高森明勅
2020.3.20 03:18政治

緊急事態と立憲主義

国家は緊急事態を百パーセント避けることは出来ない一方、
立憲主義はあくまでも守り抜かねばならない。
そこで、憲法それ自体の中に予め緊急事態に対処する場合の
例外的な規定を盛り込む必要が生まれる。
いわゆる緊急事態条項がそれだ。
しかし、同条項は政府への権力の集中と国民の権利の制約を
「正当化」するだけに、一歩運用を誤ると、立憲主義が破壊される
危険を伴う。
帝国憲法にも、緊急事態条項があった。
例えば、その緊急勅令(8条)を巡り同憲法の伊藤博文名義の
半官半民の注釈書『憲法義解』の中で、“特に”以下のような言及があった。「もし政府にしてこの特権に託し、容易に議会の公議を回避するの方便となし、
また以て容易に既定の法律を破壊するに至ることあらば、憲法の条文は
また空文に帰し、一(いつ)も臣民(しんみん)のために保障を為(な)す
こと能(あた)はざらむとす。
故に本条はまた議会を以てこの特権の監督者たらしめ、緊急命令を事後に
検査してこれを承諾せしむべきことを定めたり」と。


今般のコロナ特措法の場合、「議会を以てこの特権の監督者たらしめ」
“ない”ルールになっている。
伊藤博文も呆れるのではないか。
【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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